みなさん、こんにちは。
現役オンコロジーMRのゆってぃーよ。
三重大学麻酔科の収賄罪事件で検察側が新たな証言があったとRISFAXで記事になっていましたね。
三重大学の事件については過去の記事を確認してください。
三重大学が小野薬品の薬で診療報酬不正請求。MRの関与は?寄付金目的?医者と製薬会社の闇
三重大学麻酔科への贈賄疑いで小野薬品社員が逮捕されたが色々不可解な話
この麻酔科の元教授が、ある製薬会社社員に対して懇親会の費用負担を依頼した。
そして製薬会社社員が断ったところ、納入している医薬品を全て他剤に切り替えられたとの事。
このような脅しに近い要求を繰り返し実施していた実態を指摘している。
超大口顧客から「対応しなければ他剤に全て切り替えるぞ」と脅迫されたら皆さんはどうしますか?
「毅然と断れば良い」との意見になるだろうけど、会社や営業所によっては、そうもいかない現状があったりする。
今日はその事について色々と考えていきたいと思います。
確かに昔は接待の強要などは当たり前にあったよね。
昔話をします。
今は製薬業界は実質、接待は禁止になっている。
しかし、ガイドライン制定前には当たり前に接待が出来ていた。
その当時、私は生活習慣病担当MRでした。
営業所ではタクシーチケットの束とミシュランガイドを各MRに配られて、半期ごとに作成するアクションプランに、どの医者をどこで接待するか書かされていた。
まさしく金で処方を買う時代で、市場の大きい医者に対しては各社接待攻勢をしまくっていた。
その中で私は、あるクリニックから接待の強要をされていた。
当時は接待が出来ていたとは言え1人単価が2万円と決められていたが、このクリニックの医者は1人単価5万円はくだらない超高級店での接待を要求していた。
更に3次会まで必ず実施させられていて、3次会のバーは経費で落ちないので完全に自腹だった。
1杯3000円するウイスキーを麦茶のように飲んでいたのを今でも思い出す。
この要求に耐えうる製薬会社の薬が使われる。
こんな毎日を送っていた事を考えると、本当にクリーンな業界になったのだと感じる。
三重大学の元教授は15〜20年前くらいの世界で化石のように生きていた人なんだと思う。
今の時代は、無理を強要されたら断れば良いけど売上至上主義の営業所はそうもいかない。
逆らえない人から犯罪を強要されたら、ダメだと分かっていても断れない。
MRの世界で言えば、顧客から犯罪を強要された時にどう考えるかという話。
その時に1番大事というか、助けにならないとダメなのが会社、もっと言えば上司だ。
犯罪を犯してまで数字を守らなくても良いという当たり前の価値観を会社側の人間が持っていなければ、数字を下げられないプレッシャーから犯罪に手を染めてしまう。
今回のケースで言えば、三重大学の元教授が脅しに取れる強要をMRにしてきた時に会社が守ってくれるという安心感があったら担当者も断れたと思う。
ダメな事を分かっていても、数字のプレッシャーに耐えられず犯罪に手を染める。
そして犯罪を犯した担当者が逮捕される。
自分の行動に対して、自分が責任を取る事は当然だけれども、何だか可哀想な部分も感じる。
会社や上司が、売上至上主義を常に掲げて、数字のプレッシャーを掛け続けると結果、このような不幸な事が起こる。
数字が良い事が正義で、数字が悪い事が犯罪者かのようにMRを詰める会社や上司を見かけるが、こんな環境で仕事をしていれば正しい判断が出来なくなってしまう。
いくら強要されたとは言え犯罪に手を染めた人間を擁護する事は出来ない。
しかし、会社としての責任も大きと感じる。
費用負担をしないと他剤に切り替えると医者から言われたらMRならどうするか?のまとめ
昔は接待の強要などは当たり前にあった業界である。
しかし、今は様々な規制によって接待等が出来なくなった。
規制が多く活動しずらいと嘆くMRがいるが、全く逆の話で今の業界は規制によって守られていると考えるのが普通だ。
その中で、今の時代でも無理難題を強要してくる医者が今回の三重大学だけでなく存在する。
その時に毅然とした態度が取れるか否かは、最終的には会社、上司に大きく左右されると感じる。
数字でしか評価しようとしない、売上市場主義の会社や上司の下にいるMRは犯罪を犯すリスクは高いと思う。
私のように「会社は守ってくれない」「殺される訳でもないし数字下がっても受け入れる」「嫌なら辞める」これくらい、割り切って働くと楽ですよ。