MRの今後 製薬会社の合併・吸収の話 製薬会社の将来

薬価改定から存続が危ぶまれる製薬会社を炙り出す。毎年やるよ薬価改定の話。

投稿日:

みなさん、こんにちは。

現役オンコロジーMRのゆってぃーよ。

薬価改定の改定率が公開されましたね。

薬価改定・各社別影響率 中外と帝人で9%台 再算定や新薬加算相当額の返還影響大きく(ミクスOnLIne)

今までは2年に1回の改定だったけど、これから毎年やるわよ。

大きく薬価を下げられる製薬会社は存続出来ない事を明確に表しているような%ですよね。

今日はその事について書いていきますね。




薬価をなぜ下げるのか?政府は製薬会社いじめをしてるだけなのか?

薬価を下げるのは膨大し続ける医療費を抑制する為。

平均寿命が伸びている事は良い事。

しかし寿命が伸びたおかげでその分、治療費が掛かる。

「命はお金に変えらないのだから、いくらかかっても治療するべきだ!」

という考えすら今後は否定されかねない状況。

これについては、この本を読んでもらえれば状況がよく分かるわよ。


正直、薬価を今のペース程度下げても全く足りない状況ではある。

まずは、やれる所から確実に医療費削減を実施していく為に今後は毎年、薬価改定を行う事になった。

毎年、薬価を下げ続ける政府の方針は、この状況に耐えられない製薬会社は潰れてくださいと暗に言っているのと変わらない対応だと思う。

政府のこの方針に否定的な意見を述べる人もいるけど、個人的にはもっとドラスティックな方針が必要だと思う。

今の日本はそういう危機的状態であることを考えるべきだと思う。

画期的な新薬が開発出来ない中小製薬会社は倒産してください。by日本国家

2020年の今回の薬価改定で大きく薬価を下げた企業では10%前後、下がっている。

「薬価=製薬会社の売り上げ」なので一生懸命、営業して宣伝しても、この1回の改定で会社の売り上げが一瞬で10%ダウンしてしまう。

しかも今後は毎年、薬価改定を行う。

この薬価改定に耐えうる方法は1つ

「画期的な新薬をコンスタントに上市し続ける事」

大きく薬価を下げている薬剤は

・特許が切れた長期収載品

・めちゃくちゃ売れて市場拡大再算定を受けた薬剤。

逆に薬価があまり下がらない薬剤は

・新薬創出加算のインセンティブが付いた特許期間中の画期的な薬剤

ここから分かる事として、長期収載品が自社医薬品に占める構成比率が高い会社は今後もびっくりするくらい薬価が下がり続ける。

また、めちゃくちゃ良い薬剤でも市場再算定を受けてしまえば一気に薬価が下がるので、そのような1つの薬剤に頼りきった経営をしている製薬会社も危ない。

1製品、2製品に頼って経営をしているとその薬剤が市場再算定を受けた時のみならず、特許が切れた時に一気に経営が傾く。

今は輝いて見えるバイオベンチャーやPD-1抗体を販売しているMSDがこれらに該当すると思う。

これから存続しうる製薬会社は新薬創出加算のインセンティブが付いた画期的な新薬を定期的に発売して、特許が切れた薬剤に頼らない経営が出来る会社のみだと思う。




全売上に占める長期収載品比率が高い製薬会社は今後、生存するのは厳しいよ。

上記の事柄を頭に入れながら実際に各製薬会社の状況を見ていくとイメージがしやすい。

後発品比率

ヤクルト本社60%台後半

三和化学50%台

持田製薬30%台

(ミクスオンラインより抜粋)

このように特許が切れた長期収載品に未だに頼った経営をしていても、毎年エゲツない%で薬価が改定されていくので、今後は更に厳しい状況になる。

そもそもこの3社においては、長期収載品比率が高いだけでなく、後発品の販売にも注力している。

この状況がお分かりになるか?

以前、エージェントの人と話ていたことなんだけで、これらの会社は先発品製薬会社と思っていても気付いたらゾロメーカーに変身しているって事。

転職する際の応募条件によく「先発医薬品製薬会社でのMR経験」と設定されていることがある。

なので、先発品製薬会社と思っていても気付いたらゾロメーカーになってしまい、いよいよヤバいと思い転職を決意してもゾロメーカー扱いになり応募すら出来ない状況になりかねないとの事。

長期収載品に未だに頼った経営をして後発品に手を出して、画期的な新薬が出てこない中小製薬会社は消滅する。

今後の製薬会社は合併、吸収だけでなく倒産も当たり前に起こると思う。

少し前だけど1999年から2014年の15年間で医療用医薬品と取り扱う製薬会社は130社以上消滅している。

詳しくはこちら。

製薬会社 買収、合併、統合の歴史を振り返る

最近ではサノフィーがバイオベラティブを、武田薬品がシャイアーを、ブリストルがセルジーンを吸収したわよね。

サノフィがバイオベラティブ買収よ。やっぱりバイオベンチャーMRはリスク大

5月8日武田薬品がシャイアー買収合意を正式発表したわよ。勝手に不安と期待を考えよう。

ブリストルがセルジーンを8兆円で買収するんだって。

このように一見、買収・合併・吸収が盛んに行われているように見える。

でも、これら吸収された企業も薬剤のポテンシャルがあり企業価値があったから買収されたのだと思う。

国内の中小製薬会社はどうだろうか??

開発品もなく、特許切れした薬剤にすがった経営をしている製薬会社にどんな魅力があるのだろうか?

買収する価値もないと判断されて、買収もされず倒産していく末路は容易に想像出来ないだろうか??




薬価改定の低下率を見ると存続が危ぶまれる企業が炙り出される。毎年やるよ薬価改定の話のまとめ

日本の医療費増大は待ったなしの危機的状況である。

これからは毎年、薬価を改定して価値がない薬剤はどんどん薬価下げていきます。

この状況を考えると今後生き残る製薬会社は画期的な新薬を継続的に発売できる会社。

逆を言えば、新薬も出せずに特許が切れた長期収載品にすがっている製薬会社は生きていけない。

そもそも、新薬が出せない企業は往々にゾロ薬剤を作りがち。

新薬製薬会社と自分は思っていても、世間の評価はゾロ会社になっている。

その時に転職活動しても、応募資格すらないわよ。

フォーミュラリー、毎年の薬価改定などを加味して現在勤めている製薬会社の将来を考えて欲しい。

フォーミュラリーが浸透したらMRが激減する。まずは生活習慣病MRから絶滅ね。

そして今、自分の乗っている船が泥舟だと思うのであれば一刻も早く脱出するべきだと思う。

泥舟は傾き出したら一気に沈むわよ。
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執筆者:


  1. ファクトフルネス より:

    いつも日々の記事を楽しく拝見させて頂いております。

    私が入社した時は潰れることのない生涯安泰業界でしたが、時代は変わり新薬(ゾロ新でなくピカ新、更には有用性のあるピカ新)の開発と発売が出来なければ淘汰されていくのだなと改めて強く感じました。

    中堅内資系の経営層の方々は古き時代を生きてきたばかりに昨今の変化を直視出来ず、昔ながらのスタイルを若い世代に求めている節があり、それじゃ生き残れませんよ。と日々思い虚しく感じます。(経営層は自分がいる残りの5年ぐらい持てばいいよという意識もありますが)

    また勝手を申し上げますが、ゆうまさんの視点でのプライマリー医薬品の併売(1物2名称等)に関する解説記事があれば、面白いなと思いますのでお時間あれば宜しくお願いします。

    • mrnoblog14 より:

      ファクトフルネスさん

      コメントありがとうございます。
      現実を受け入れず目先の損得を考えるはMRでも経営陣でも同じって事ですね。

      リクエストありがとうございます。
      併売ですね。

      普通に考えるとコプロの方が無駄な争いが無くて良いと思いがちですが
      併売して競わせながら販売をした方が結果的に売上のインパクトが大きいと
      教わった事があります。

      ゾロは別ですが、先発品の1物2名称でも製造している会社は1社ですので
      その会社が最も利益を出す手段で併売を選択しているんだと思います。

      ただ現場のMRからしたら全く不毛な仕事だと思いまし、キャリアにもならないと思います。
      成分も薬価も全く同じ。
      違うのは宣伝するMRが違うだけ。
      であれば私が医者なら若いニコニコしている女性MRの製品を採用したいです。

      この辺の情報がもう少し整ったら記事にもしてみたいと思います。
      ネタの提供ありがとうございました。

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氏名:ゆうま
職業:大手製薬会社でオンコロジーMR
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家族:妻・坊主
趣味:副業 子供に遊んでもらう

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