ブラック製薬会社 製薬会社事件簿

MRなら社内においても有効性と安全性のバランスある情報提供が必要だと思う話

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みなさん、こんにちは。

現役オンコロジーMRのゆってぃーよ。

MRをしていく上では様々なルールがある。

そのルールを正しく守って活動する事が大切だという事は全員理解している。

そして、そのような事を会社も偉そうに強く言っている事でしょう。

しかし「製薬会社の本質が見えたな」と感じる出来事がありましたので今日はそれについて書いきましょう。




MRは医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインを守って活動しなければならない。

このガイドラインは必ず研修や、毎月行われるMR認定資格の継続教育等で勉強している。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン

このガイドラインのP3に販売情報提供の原則が記載されている。

(1)①の項にこのような記載がある。

「医療用医薬品の有効性のみではなく、副作用を含む安全性等の必要な情報についても提供し、提供する情報を恣意的に選択しないこと。」

当たり前の事でしょう。

効果がめちゃくちゃ強いけど、同じように副作用も強い薬があったとする。

その時にMRが「この薬を使うと効果が強いです!」と有効性だけ紹介して副作用について一切の説明をしなかったらどうだろうか?

こんな情報提供は絶対に許されないですよね。

この考えは、顧客に対してだけの話ではないと思う。

社内においても有効性のみではなく副作用を含む安全性情報の提供も必要だと思う。

MRという職業は情報を正しく提供出来る人でなければならない。

それは決して顧客に対してだけでもなく、社内においても同じだと思う。

そんな事を感じる出来事がありました。

先日、定期的に支店単位で開催されるベスプラ大会があった。

ベスプラ大会とは、ベストプラクティスの略で、要は成功体験を共有する発表会のことである。

この会で、あるMRがメールアドレスが分からない全ての医者に片っ端から電話したと発表していた。

コロナ禍でWeb面談がMR活動の基本になっている以上、メールアドレスの取得が急務であった事は間違いない。

その中で手紙でやり取りをしてもなかなか、返事が貰えないので全Drに電話をしたと発表していた。

結果、10人近いDrからアドレスを貰えてWeb面談に繋がったという成功事例。

支店長は「勇気と行動力が素晴らしい!苦しい環境の中でできる事を考えて実行した素晴らしい仕事だ」と大絶賛していた。

でもね有効性の紹介しかなかったのですよ。

正確な人数は聞き逃してしまったが、少なくとも30〜40人くらいに電話をして副作用は無かったのですかね?

私の仲良しDrは「電話だけは絶対に辞めてほしい」と言っていた。

癌患者さんに告知している時

診察中、病棟回診中

緊急オペに対応する直前

当直明けの疲労がピークの時

論文執筆や研究中で集中力を途切れさせたくない瞬間

こんな時にMRは突然電話して「アドレス教えてください!」って言ってきたら殺意を覚えません?

電話は医者とコンタクトを取る有効な手段だとは思うけど、最後の手段でもあると思っている。

「アドレスを10件ゲットした」という有効性だけの紹介で、医者に嫌がられたり怒られた副作用は一切紹介しない。

このMRの発表は間違っていると思うけど、それを大絶賛していた支店長が会社の本質だと感じてしまった。

このMRが勇気を出して行動した結果10人のアドレスと聞き出せたのは素晴らしいが同時に起きた副作用の紹介もするべきだと私は感じた。




結局、製薬会社の腹黒い本質的な部分は変わっていないのかと感じてしまう。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインは過去の製薬会社の悪行を正す為に施行されたガイドライン。

過去の製薬会社の大きな事件といえばディオバン事件、CASE-J事件が代表でしょう。

ディオバン事件を考えちゃう

武田のCASE-J事件(ゴールデンクロス)について考える

また生活習慣病薬全盛期の降圧剤(ARB)の競争も完全に患者視点無視で行われていた。

ARB戦争を振り返る

これらの悪行の実行者は確かにMRかもしれないが首謀は製薬会社である。

MRは会社の指示を忠実に守っただけで悪の根元は会社の中枢でしょう。

現在は業界のルールとして医療関係者に対して接待は出来ない。

ルールで禁止しているから接待をしていないだけで、きっと今でもルールで接待が出来るのであれば製薬会社は接待の実施指示をすると思う。

過去の「薬が売れればそれで良い」という黒い考えは製薬会社の中枢が持っていた考え。

今回の相手の状況を一切考えず、片っ端から電話を掛ける行為を大絶賛した支店長の姿を見て製薬会社の黒い本質的な部分は何も変わっていないのだと感じてしまった。

MRなら社内においても有効性と安全性のバランスある情報提供が必要だと思う話のまとめ

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインでは有効性だけでなく、副作用についてもしっかり紹介する必要性について明記されている。

この考えは、顧客に対しての情報提供だけでなく社内の会議でも同じ事だと思う。

社内の会議で担当の医者に片っ端から電話をかけて10人のアドレスとゲットしたと発表したMRがいたが、副作用(怒らせた等)は全く無かったのだろうか?

今回の取り組みを発表するにしてもガイドラインの原則に則り、下記のような発表なら納得するしマインド等、参考できる部分もあると思う。

片っ端から電話をかけて10人のアドレス入手という有効性はあったが数名の医者から激怒される有害事象もあった。

この取り組みの結果としては「電話は早く確実に結果が出る反面、相手の状況が分からないのでリスクも大きい」。

しかし実際は副作用を全て隠蔽して得られた効果だけを発表していたので、不正データとしか感じなかった。

しかしこの発表を支店長が大絶賛していたので製薬会社が20年前から本質的には何にも変わっていないと悟ってしまった。

製薬協や厚生労働省が規制を引いたからやっていないだけで製薬会社から自発的に自分等の活動を改めようという姿勢が見えない。

後輩のこの発表の方がよっぽどベスプラ大賞だと思う。

後輩MRがコロナ禍での成功事例を発表したら「誤解を招く」と却下された話



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