みなさんこんにちは。
現役オンコロジー(抗がん剤)専門MRのゆってぃーよ。
この戦争を知っている?
ARB(Angiotensin II Receptor Blocker)とはアンジオテンシンII受容体拮抗薬という種類の血圧を下げる薬(降圧剤)よ
10年くらい前はかなり繰り広げられていたわね。
どこまでやるのかって思っていたら、ディオバン事件とCASE-J事件でやっと収束したけど、その時の戦争を振り返って見るわ。
ARBの種類
ニューロタン:万有製薬(現MSD)
ブロプレス:武田薬品工業
ディオバン:ノバルティス
ミカルディス:アステラス・ベーリンガーインゲルハイム(共同販売)
オルメテック:第一三共
アバプロ・イルベタン:大日本住友・塩野義(併売)
アジルバ:武田薬品工業 ※ARB戦争後の発売
当時のARBは降圧剤ではなかった。
当時、血圧を下げる薬(降圧剤)の適応症通り、血圧を下げる効果をメインに情報提供をしている薬剤は第一三共のオルメテックくらいだったわ。
カルシウム拮抗薬という種類の降圧剤に比べて、ARBという種類の降圧剤は血圧があまり下がらなかったのよ。
だから適応症の「血圧を下げる」って事に触れていなかったわ。
・インスリン抵抗性改善
・臓器保護効果
・CKD(慢性腎臓病)
・メタボリックシンドローム
・腎臓保護薬
とか言ってやりたい放題だったわ。
特に下品だった薬剤を教えてあげるわね。
ディオバン:ノバルティス
ディオバン事件でお馴染みね。
データを改ざんして論文発表した事件よ。
嘘をついて医者と患者を騙したんだからタチが悪いわね
ブロプレス:武田薬品工業
こちらはCASE-J事件でお馴染みね。
ディオバン事件と大差はないわね。
差がない結果をグラフを操作して差があるように改ざんした事件ね。
ミカルディス:アステラス・ベーリンガーインゲルハイム(共同販売)
ディオバンやブロプレスのように厚生労働省から業務改善命令が下される事はなかったけど、かなり酷いプロモーションをしていたわ。
PPARγ活性化作用があるので糖尿病治療薬と同じような効果が期待できますって言っていたわ。
ミカルディスは降圧剤なのに糖尿病治療薬ですって意味不明な事を「PPARγ活性化作用」を使って医者達を騙していたわ。
アバプロ・イルベタン:大日本住友・塩野義(併売)
この薬のロゴマークが意味不明だったの。
降圧剤のロゴマークなんだから「血管」がロゴなら普通でしょ。
なぜかこの薬のロゴは「腎臓」のマークだったの。
無茶苦茶なのは情報提供だけじゃない。
これらの薬剤を扱う製薬会社が、えげつない金額の寄付を重要施設に入れていたわ。
100万円、200万円じゃないわよ。
1000万、2000万円っていう金額を毎年、寄付していたわ。
しかも当時の寄付って何に対しての寄付なのか全く不透明なのよ。
「この実験をするから寄付します」っていうならまだ理解が出来るんだけど実態はそんな事を確認する事なく、無条件に1000万円寄付しますって普通にやっていたわ。
接待もかなりやっていたわね。
当時は今みたいな規制がなかったから、毎月のように銀座に連れて行って各社接待合戦もやっていたわ。
どのようにこの戦争が収束したか。
ディオバン事件もかなり影響があったけれども、結局は武田薬品に対してCASE-J事件で業務改善命令を受けたのが決定打になったわ。
武田薬品って言えば売り上げも、歴史も国との繋がりもどれを取っても「日本1」の会社よね。
その会社を国が厳しく怒れば、他の会社もビビって自粛するでしょって感じ。
実際、それ以降はミカルディスの「糖尿病治療薬と同じ効果があります」とかアバプロの「腎臓ロゴマーク」も一切使われなくなったもんね。
ある意味、見せしめ的にやられた武田薬品もかわいそうよね。
ARBメーカー全社、行政処分を下すのが普通だと思うわ。
まとめ
当時のARB戦争はかなり激しかったわよ。
データを勝手に変えるわ、嘘を言うわ、本当にやりたい放題。
医者を接待漬けにして、病院には巨額な寄付金を投入して、患者に不利益を与えて各社利益を出していたわ。
皆さんはそんな製薬会社が「患者さんのために」って言ってても信じますか?
一度、各社のHPを見てみると良いわ。
言っている事とやっている事のギャップが面白いわよ。