みなさんこんにちは。
現役オンコロジー(抗がん剤)専門MRのゆってぃーよ。
過去の製薬会社の不祥事を振り返ってみようと思うの。
ノバルティスファーマのディオバン事件って覚えている?
かなり大々的に報道されたから医療業界の人でなくても知っているわよね。
今日はこの事件について改めて考えてみようと思うの。
ディオバン事件
ディオバン事件とは、高血圧治療薬のディオバンの医師主導臨床試験にノバルティスファーマ日本法人の社員が統計解析者として関与してデータを改ざんしたり、副作用を少なく報告したり自社にとって都合の良いように操作した事件よ。
ディオバンの日本での臨床研究には、京都府立医科大学、東京慈恵会医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学が実施して論文発表していたのよ。
のちに薬事法違反(誇大広告)罪に問われた統計解析を実施した元社員に東京地裁から判決が下りて改ざんを認定したが、「論文は広告に当たらない」と判断し、無罪(求刑懲役2年6月)を言い渡した。法人としての同社も無罪(求刑罰金400万円)になったの。
とんでもない事をしたけど結果は企業も人も罰せられなかったのよ。
あの頃のノバルティスファーマ社は高い倫理観を必要とする医薬品メーカーでなかった。
ディオバンはこの事件前にVALUE試験という臨床試験を発表しているの。
この試験自体は何の不正もない試験だったんだけど、この試験結果の紹介の仕方がかなり偏っていたのよ。
VALUE試験はディオバンとアムロジピンっていう降圧剤を比較して降圧効果が同程度ならば,心死亡および心疾患発症の抑制はディオバンのほうが有効であるという仮説を検証する試験よ。
世界31カ国、15,000人以上の人を対象にやられた超大規模臨床試験なの。
結果としてはディオバンはアムロジピンと同程度の降圧効果が得られなかった(アムロジピンより血圧が下がらなかった)から、この試験の前提から成立しなかったのよ。
しかも心血管イベントの発症率も差がなかったという結論で、どっちが良い薬かというと降圧効果が優れていたアムロジピンに軍配が上がったのよ。
これが結論であるのにも関わらずその後、ディオバンにとって都合が良いポイントだけを切り取って「糖尿病の発症率が低かった」とか「降圧効果が同程度と勝手に補正しちゃえばディオバンの方が心血管イベントが少ない」とか、嘘ではないけどかなり自分勝手な解釈で大々的に宣伝していたの。
自分勝手な宣伝をする会社だったから、データの改ざんをしたディオバン事件が大々的に報道されても、全く違和感がなかったし「やっぱりね!」と思ったわ。
このディオバン事件の責任は誰がとったの?
結局、誰も責任とっていないのよ。
当時の社長が30%の減俸処分がされたけど、それでも何千万っていう報酬を得ていたわ。
結果、ディオバンの実力以上の効果を期待して服用していた患者さんや、治療をしていたDrが騙されていただけって事しか残らなかったのよ。
また各医療機関に、一連の不正を説明に行った現場のMRもある意味、被害者よね。
管理職は経営陣のカテゴリーに入ると思うから、ディオバン事件当時の全管理職は一律20%減俸処分くらいして会社全体が目に見える形で反省するべきよね。
今でもそう思っているの。私怒っているわ。
現在のノバルティスファーマはまともになったと思うわ。
今はディオバンは特許が切れて、ほとんど後発品になっているのでMRがディオバンを宣伝する事はないって言っていたわ。
ノバルティスファーマのMRに聞いても今は過剰で自分勝手なプロモーションはしていないって言っていたからまともな企業になったと思うわ。
でもノバルティスファーマの企業イメージはかなり悪いから、私は入社したいと思わないわ。
やっぱり不正をした事実は消せないもの。