MRのお仕事 オンコロジーMR 製薬会社事件簿

MRが患者情報をグループメッセージで共有している営業所は個人情報保護法違反という話。

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みなさん、こんにちは。

現役オンコロジーMRのゆってぃーよ。

生活習慣病MRと専門領域MRの大きな違いの1つに投与している患者の人数がある。

生活習慣病薬であれば1軒の開業医で100人に投与するなんて当たり前にある。

それに対して専門領域の薬はそもそも対象患者が少ないので大学病院でも1人、2人の投与なんてざらにある。

そうなると投与している患者も今後投与を検討する候補患者も追いかけやすくなる。

なのでよく専門領域MRは会社から投与患者及び候補患者の把握と報告を求められる事がある。

今日はこの事に関して意識の薄いMRや所長が多くいるので書いて行きますね。



新患と候補患者を確認したらグループメッセージで共有しなさい。

うちの会社も先日、この指示が出たのよね。

結果、これは大事件になりかねないとの事で一切禁止になった。

でも止める人がいなければ、そのままやっていたかもしれない。

こんな話を他メーカーMRに話したら「うちの会社はやってますよ」だって。

新規投与が始まった時と候補患者が確認できた時にグループメッセージで共有するんだって。

その時、報告する項目は

病院名、医師名、年齢性別、PS(健康状態)、その他聞き取った情報。

候補患者においては、病気が進行したら自社医薬品の投与する予定の患者情報。

なんとも心が痛くなるような情報共有よね。

建て前は「治療機会の損失を防ぎ最良の治療を提案するため」

本音は「病気が進行さえしてくれれば自社医薬品を使ってくれて売上が上がる」

MRの定義を抜粋すると「医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達」となっている。

なので自社医薬品の安全性、有効性の情報収集は目的業務ないかもしれない。

投与患者の情報を収集する事自体はMRの本来業務かもしれない。

でも情報の発信はMRの定義には書いてありませんよ。

製薬企業における個人情報の適正な取扱いのためのガイドラインが設定されている。

これは製薬協のホームページにぶら下がっているので一度確認した方が良いと思うわ。

製薬企業における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン

ここで明確な記載がある。

このガイドラインの根底には当然「個人情報保護法」の遵守がある。

個人情報とは氏名、生年月日、カルテ番号だけではなく、年齢、性別、職種などの全ての情報が該当すると、このガイドラインに書いてある。

「〇〇病院の△△先生から新患確認しました!70代の主婦の患者さんで本日から□□錠の投与が始まります。PS(健康状態)良好との事ですが副作用が出ないようにしっかりフォローします!」

こんなグループメッセージが流れてきたら、完全なる個人情報の漏洩よね。

患者の個人情報をグループのメンバーに一斉にぶちまけるってやばくない??

ましてや候補患者の情報は自社医薬品の情報収集でもないから、言い訳無用な個人情報の流出でしょう。

個人情報を取り扱う時には本人の許可もしくは公表が義務付けられているわ。

グループメッセージで共有している情報が患者の承諾を得ているのか?もしくは会社のHP上に利用目的等を公表しているのか?




会社の携帯電話で共有しているだけなので個人情報の漏洩にはならない。訳ないだろ!

会社の携帯電話にはパスワードが設定されているので安全性が担保されている。

そんな事は言い訳にもならない。

このガイドラインで明確に規定しているわよ。

P23ページからP28 4安全管理措置、従業者の監督及び委託先の監督(法第20条〜第22条)(1)安全管理措置 (2)構ずべき安全管理措置の内容に明確に記載がある。

P25⑥物理的安全管理措置

個人情報データを取り扱うサーバーやメインコンピューター等の重要な情報システムを管理する区域について適切な管理をしなければならない。

・グループメッセージやLINEが情報を適切に管理する区域に該当するか?

・事業者は管理しなければならないので個人情報の取り扱いを管理する部署の人間が営業所のグループメッセージのメンバーに入っているか?

これらの規定を完全無視して患者情報をグループメッセージやLINEで流出している営業所が今現在も存在するらしい。

MRが患者情報をグループメッセージで共有している営業所は個人情報保護法違反なので通報した方が良いのまとめ

専門領域MRをしていると1例投与されると実績が大きく上昇するし高い評価がもらえる。

それ故に投与が始まった嬉しさから安易にグループメッセージやLINEで患者情報を漏洩するMRが存在する。

患者情報の共有を業務指示として明確に出している営業所もあるみたいよ。

病院、医師名、年代、性別、投与薬剤が揃ったら充分、患者情報よ。

ましては、候補症例の共有などというものは個人情報保護法違反+早く患者の病態が悪くなれば良いかのような情報で愚の骨頂だと思う。

少し前になるけど、ノバルティスが患者情報を医者から入手していた事件があるでしょう。

東大病院の不正は患者情報流出だけではない ノバルティス白血病薬の臨床研究で患者に虚偽の説明

この時には臨床試験の改ざんは確認出来なかったけど関与はあったという事で事件になった。

それと同じくらい問題視された事は「医療機関から製薬メーカーに患者情報が流れることがあってはならない」と当時の東京大学の病院長が記者会見で話しているわ。

もし、あなたの会社で新患や候補患者の情報共有をグループメッセージやLINEでするように求められたら即刻、中止させてほしい。

知識がない奴ほど、これらの事をやらせたがる。

投与患者のフォロー表は私の会社も存在する。

これは、会社が管理しているサーバー内で更新しなくては、ならなくてダウンロードか出来ない。

安全性活動をしていく上では必要な事だと思う。

今回の問題点は患者情報の取り扱い方。

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