みなさん
こーんにーちはー。
現役オンコロジーYouTuberMRのゆってぃーよ。
今日は一部の外資系企業に吹き荒れているPIPについて解説していきます。
PIPって可愛い名称よね。
この制度を聞いた事がありますか?
PIP自体は決して悪い制度ではない。
仕事に苦戦している人に対して上司と人事がその人に適した個別のアクションプランを設定してサポートする制度。
仕事を進める上でよく聞くPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)と大きな違いはありません。
本人1人で考えても中々、行き詰まってしまうので直属の上司と本社の専門家がサポートしますというのがPIPの特徴ですね。
- 本人の弱点を明確にするために現状を分析する
- 設定した目標が達成出来たらどのような姿になっているのか。そして、それはいつまでになり遂げるのか。
- 設定した期限で結果がどうだったのか、何が出来て何が出来ていないのか検証
このサイクルを繰り返すプログラム。
このプログラムを実行していく上で上司と人事が親身にサポートしてくれるありがたい制度。
その人の成長の手助けをする制度で本人にとっても成長の機会があたえられるチャンスとも言える制度でしょう。
しかし、この素晴らしい制度を悪用して退職に追い込むツールとして使っている製薬会社も存在するのが実際ですね。
だからPIPと聞いたら「恐ろしい」と感じる人が多いのだと思う。
なぜPIPを使って退職に追い込むのか?
実際にこのPIP制度を使って退職に追い込むやり方について紹介していきますね。
辞めされたい社員がいた時に会社が社員に対して「辞めてください」と通告すれば終了と思いがち。
しかし日本においては辞めさせたい社員がいても解雇するのには早々出来ない。
良い意味でも労働基準法でガチガチに守られている。
日本企業はこのガチガチの労働基準法を古くから認識しているので社員を辞めさせるようとはすぐに動かない。
逆にアメリカなどでは、いきなりの解雇通達は当たり前に繰り返されるでしょう。
外資系からすると本国本社からパフォーマンスの悪い社員を雇用し続ける意味が分からないのよね。
日本で社員を解雇するには3つの方法があります。
懲戒解雇。
これは重大な就業規則違反をしたり犯罪を犯したりした時に懲戒処分としての解雇。この解雇は事前通達も不要で退職金も支払われない1発退場の解雇ね。
整理解雇。
これは会社の倒産や経営悪化で人員整理の為に行う解雇。この解雇は会社都合の解雇になるので失業保険の受給日数などが自己都合退職に比べて優遇される解雇。
普通解雇。
この解雇は懲戒解雇、整理解雇にも当てはまらず、労働契約が困難な事情がある解雇。
労働契約が困難な事情ってすごく抽象的ですよね。
日本にはこの3つの解雇しか存在しないのよね。
パフォーマンスが低い社員を辞めさせようとしても、その術がない。
そこで出てくるのがPIPを使って社員が自主的に退職していくように促している。
PIPをつかって退職に追い込む流れ①現状確認②目標設定
ちなみにスキームは通常の育成を目的としたPIPと同じ。
現状確認、目標と達成期限の設定、結果検証のサイクル
実際の運用内容が大きく異なるのよね。
そしてPIPのサイクルが終了した時に出口を完全に封じられた状態でぐうの音も出ない状態に持っていく手法よ。
では実際に1つずつ紹介していきますね。
まずPIPの始めは現状確認。
出来ていない事を本人に並べさせて自覚させる。
ここから全てはスタートします。
営業という仕事に100点満点なんて存在しないので、必ず出来ていない事は出てくるでしょう。
そして現状の課題が明確化されれば、次は目標と期限の設定。
課題が解決されて100点満点MRになるという高い目標が設定されるのよね。
例えば
標準治療薬でもないのにシェア1番になる。
全てのターゲットDrの治療法方針を明確にする。
この目標を達成させる期限は大抵3ヶ月くらいが多いと思う。
高い目標を設定させるのも悪意があるんだけど、さらに怖いのはサインを求めること。
その署名する書類がこのPIPにおいて最も大切よ。
人事から[この文書を読んで理解したら署名してください]と言われる。
この文章には色々と書かれている事があるんだけどポイントは2つ。
①「会社の親身なサポートにも関わらず成長できなければ、その後の処遇に異論を述べない」
会社として、やるべきことは最大限やったという既成事実を作るため。
②「PIPプログラム中に嘘をつきません」
これがポイントですよ。
後ほどの検証の際に詳しくは説明します。
目標が決まったら、それを解決するべき具体的なアドバイスをしてもらう。
このアドバイスは教科書に書いてあるような典型的かつ抽象的なもの。
「薬剤の情報を提供する前に医者のニーズを確認する」
「効率的に訪問出来るように訪問計画を作る」
こんな感じですかね。
PIPをつかって退職に追い込む流れ③実行④検証⑤その後
目標も具体的な行動も決まったのでここからは実行に入ります。
3ヶ月後の期日に向かって懸命に取り組む。
この3ヶ月間のあいだに月に1回は三者面談をして状況確認をする。
この中間面談で会社から追求されるようなことは無く、あくまでも親身に寄り添う程を貫きます
そして3ヶ月後の期限を迎えて成長出来たか検証します。
3ヶ月でシェアを飛躍的に向上させるなんて夢のような話でしょう。
仮にタイミングの問題で実績が向上したとしても「医者の治療方針を明確にする」などと設定した抽象的な目標に対して上司同行で医者との面談をチェックいて「治療方針の確認は出来ていない」と判定すれば簡単にバツがつく。
そしてとどめに会社から嘘があると指摘される。
駐車場の領収書、ETCの通過履歴、毎日入力する活動報告の全ての時間を詳細にチェックして相違点があれば「虚偽報告」と認定する。
そして過去の活動履歴やメールの履歴を全てチェックされて少しでも疑わしい内容があれば違反行動と断定する。
会社として、こんなに親身にサポートしたのに成長も見られない。
嘘を付かない約束をして署名もしたのに虚偽報告もある
過去に違反行為もしている。
これは、とてもじゃないけど今までのように働かせるわけにはいかない。
来月からはあなたはこのように働いてください。
「担当なしMR」
MRなのに担当がなければ、毎日何をすれば良いのか?
具体的な事を示さず1日中、支店の会議室に座らせておく。
私はこの会議室でPIPMRと所長の会話を聞いた事があるわ。
所長が「日本は解雇にならないから安心していい。でも、もし今後転職活動を
考えるのであれば担当がなければ職務経歴書も書けないから大変。動くなら今が良い」
そしてもう1つのケースは「無限ループPIP」
PIPプログラムは終了したけど、成長がなかったのでにプログラムの継続をするケース。
3ヶ月のスパンではなく毎日2回の報告をする。
朝は
・今日はどこにどのような目的で訪問するのか。
・そのためにどのような準備をしたのか。
夕方は
・今日の訪問がどうだったのか。
・会えなかったDrがいれば、なぜ計画をしていたのに会えなかったのか。
・深い話ができなかった医者がいたら、なんで深い話が出来なかったのか。
・準備が足りなかったのではないか。
・今日の失敗を踏まえて明日はどのように工夫しようと考えるのか
決して感情的に脅すような事ななく、淡々粛々と詰将棋のように出口のない追求をする。
このような待遇を受けて、若ければ早々に転職していくでしょうけど、転職できないような年齢だったり、そもそも転職という選択を持てないMRは精神が崩壊していく。
PIPプログラムに入ったMRの実際の末路
私が見たPIPMRの事例です。
1人目は会議中に瞳孔が開いて過呼吸になり床に倒れ込む。
2人目は真夏の駐車場で話していたら寒いと言って震えだす。
このような事象を見て会社に「やりすぎでは?」と提案した事もあったけど会社は「違法な事は何もしていない」「見捨てず本人のサポートをしていく」の一点張り。
これがPIPを使った退職に追い込む典型的な手法です。
PIPに入った時点で不幸な結末が待っていると思う。
YouTubeゆってぃー薬品「外資系製薬会社に吹き荒れるPIPの恐ろしさ」の生原稿のまとめ
今日のまとめをさせていただきます。
・PIP(成果改善計画)は改善を求めている訳でない。
・目標設定→検証→無能を認めさせる。
・精神が崩壊するまで淡々と追求される。
本日の総括
「PIPに入ったら、まずは転職を第一に考える」
PIPに入って会社に居続けても精神が崩壊して働けなくなる日がくる。
そうであれば、PIPプログラムに入れられたタイミングで一目散に転職した方が絶対に賢い選択だと思うわ。
PIPに入るMRが悪いのか?PIPを利用して退職に追い込む会社が悪いのか?
皆さんはどう感じますか?
今日も最後まで聞いてくれてありがとうございます。
ゆってぃーの生声でこの内容を聞いてみたい方はYouTubeで確認してみてね。
同業者です。悲しいですが本当に事実に基づいてますね。私の周りにも追い詰められて辞めて、いま零細食品会社の工場で働いてる人がいます。
でもPIPに抜擢される人って、そんな簡単に転職できるパフォーマンスを持ってないのが現実なんですよね。だから結果的に私の知り合いのような結果になる。
hachiさん
コメントありがとうございます。
何人もPIPに入った人を見てきましたが、PIPに入る人には一定の特徴がありますよね。
いかなる理由があっても、PIPで精神のみならず人生まで崩壊していく過程を見ていると
なんか違うと思ってしまいます。
弊社も、PIPに入れられたMR 20名が3月末に退職しました。 20名って少ないと思われるかもしれませんが、全MRの15%に当たります。
しんしんさん
コメントありがとうございます。
それは、かなりのインパクトですね。
そうでもしない限り、辞めさせることができない日本の雇用システムがいけないのだと思います。
私は辞めさせる側として関わったことがありますが、こちらとしても神経がすり減ります。
コメントありがとうございます。
そうですよね。
私もPIPに関わった事があります。
何か良い方法は無いものでしょうか??
PIPに入る方が全員が全員パフォーマンスで優れていないとは思いません。私は会社と合っていないのかなと考えます。なのでゆってぃーさんの転職を考えるのが1番というのは非常に同意します。hachiさんの仰るように簡単に転職できないパフォーマンスを持っていない、というのもよくわかりますが、少々極論的であるとも感じます。
センさん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。
PIPに入って転職を余儀なくされた方が数年後、転職先で所長に昇進した事例を知っています。
1番よろしくないのは、その場に留まって精神を崩壊させてしまう事だと思います。
今年で4年目を迎えた30代の所長です。
何度かコメントさせていただいてます。
会社によってPIPにも温度差がありますね。私はする側として数度行いましたがPIPをする側も非常にストレスが溜まるものでした。
PIPは残酷で酷いシステムだと思っておりました。しかし管理職になり、平均的なMRの質はこの程度なのか…とがっかりしました。そしてPIP対象者の活動の質があまりに低く衝撃でした。売上以前の問題でしたね。
ちなみに、彼等は全員45歳以上で私は内心、ぬるま湯世代と呼んでおります。
1.訪問をまともにしていない
ガソリン・ETC・駐車場の領収書などのデータを照らし合わせると、どう判断してもサボっている。本人に確認すると答えになっていない答えしか言いませんでした。酷い時にはその月の半分以上全く訪問をしていない事もありました。つまり、2日に1日は自宅にでもいたのでしょう。
2.厳しいDr.には訪問しない
市場性の高い訪問必須Dr.に面談をしておらず、何故未訪問のままなのかを質問したところMRに厳しい接し方をするから辛くて訪問が出来ないと平気な顔をして言ってきました。
これに対して、担当者としてどうすべきか?を質問したところ、担当を外して所長管轄で所長が対応するか、もしくは必ず所長が同行して最初から最後まで面談を行って欲しいと呆れ果てるような事を言ってきました。
市場性を無視して楽なところしか訪問しませんでした。
3.新しいパンフレットや資料が準備されても全く活用しない。
会社からMRに納品連絡が必ず届いても取り寄せ対応しない。最初のうちは営業所全体に向けて指示しても対応しない。電話で指示しても対応しない。どこまで対応しないか実験してみたところ2ヶ月近くに渡り、最後は本人と面談時に取り寄せをさせました。
何故ずっと無視し続けていたか?と尋ねたところ、ついうっかりと言ってきました。
これだけにとどまらず、冗談ではすまないようなミスやトラブルばかりで、PIPをやったところで改善しませんでした。
書かれている通り解雇はできず、刑事事件でも起こさない限りどうしようもないので中には開き直っているPIP社員も結構いました。
20代30代からは穀潰し扱いされていますね。ちなみに、50代になると下手な管理職より高給取りのため、若手のやる気を無くしています。
色々な管理職に聞いてみたところ、どこにもこんなのが10〜20%程度いるようでした。売上以前に勤務態度そのものに問題がある社員も少なくないため、こう考えると売り上げを上げられないMRも含めてMR全体の30%は削減されても仕方ないと思っています。
現役所長さん
コメントありがとうございます。
日本においては解雇が絶対的に難しい現状は過去から変わっていないと思います。
それを理解した上で、コール回数を稼ぎたい理由でじゃぶじゃぶと新卒も異業種中途も採用した経緯があります。
会社の一方的な安易な方針で実力がないのに入社してしまった人も不幸ですし、そのメンバーをカバーする周りも不幸になってしまいます。
これらを考えれば、腐ったミカンは感染しない様に取り除く方法もアリなのかと考えておりました。
しかし実際、目の前で精神が崩壊していく過程を見ていくと何か違うのかと感じてしまいます。
過去、記事にもしていましたが管理職の仕事は「部下を目指すべきゴールに導く事。部下の育成・教育がメイン」だと思っています。
どーしょーもない社員が存在するのは、その通りだと思います。
しかし、そのどーしょーもない社員を採用したのは会社です。
管理職は会社の経営側の立場だと思いますので、採用した責任の一端はあると思います。
そして管理職の本来業務が部下の育成なのであれば、どーしょーもない社員を更生させるのが仕事なはずです。
どーしょーもない社員が存在するのであれば管理職が育成すれば良いとも感じています。
どーしょーもない社員がMRとして成立していない様に、部下を育成更生出来ない所長も管理職としては成立していないとも感じています。
PIPは決して本来ならば悪い制度ではないはずです。
PIP制度を施行するのであれば、部下を成長させるのが仕事の所長もPIPでMRが成長出来なければ所長失格になるくらい親身に対応する必要があると思います。
私は中途半端な立場でPIPを見てきましたが、PIPに入れて数ヶ月後にMRを辞めさせた後に支店長が、その所長に「よくやった!」と言っているのを聞きました。
育成できなかったのにであれば「よくやった!」ではなく「所長失格だ」の方が正しいと感じました。
そして一定の割合で、びっくりする様などーしょーもないMRが存在する様に、びっくりする様などーしょもない管理職が存在するのも事実かと思います。
正しい考えとは思っていませんが「社会なんてそんなもん」と達観した考えを持っていないと心が疲弊する思っています。